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垂直方向からはFig-12の(f)であるが、ここまで少し上昇しているのは、少しroll角が出ており、高度ソナーが壁に反応しているためである。その後Fig-12の(g)に至るまでは、通常の航行を行っている。
(c)CREEPの終了
CREEPの終了条件としては、CREEPになってから50m航行する事である。Fig-11の(c)の部分は、(b)でCREEPになってから50m移動したのでCREEPからRECOVER BALANCEに変わっている。そして、目標方位には障害物がなかったので、そのまま定高度航行を実行しようとしている。しかし、この場所は壁にやや近かったのとR-oneの姿勢がほんの少し傾いていたため、前方ソナーの上方の物に少し反応して、上昇をしてしまっている。しかし、この後はすぐに潜航を開始した。
6.結論
本論文では、R-oneを対象としてAUVの自立性を実現するシステム開発を行った。構築には、R-oneで海底付近を航行するミッションを独自に設定し、ミッションで想定される障害物や、船体の運動特性により、必要なControl Moduleや行動決定方法などを吟味して行った。本研究を通しての結論として、以下のことが言える。
・シミュレーター試験により今回試作したシステムは、設定した状況において、うまく振る舞った。この事から、状況に対応して制御モジュールを呼び出すアーキテクチャの有用性の見通しがついた。
・航行型で、水平方向のスラスターをメインスラスターしか装備していないAUVとしては、比較的狭い移動範囲での方向転換などを試み、潮流がない状況ではうまく動作した。
・潮流などの影響が考えた場合、R-oneの運動特性にはミッション逆行上改善すべき点がある。今後、以下のことを考慮してシステムを修正すれば、本システムは実用に供することが可能である。
・機器のノイズなどの影響についての考慮。
・機器の故障などの異常時の対処。
・外乱の考慮。
・今回は、lNS、トップランナーなどの機器の計測誤差については考慮に入れていない。
・構築したシステムでは、アクチュエーターの耐久度を考慮に入れていない。実機では、アクチュエーターの耐久度に見合った制御間隔で出力をする必要がある。

主に本研究より見いだされた船体固有の運動特性の不備についても開発当初から考慮することにより、実用機では良好なシステムを開発することが可能と考えられる。

参考文献
[1]黒田洋司、荒巻浩二、浦環、大和裕幸、菅野崇:ネットワーク分散処理による海中ロボット用海中環境シミュレータ、日本造船学会論文集、Vol.178,pp.667-674.1995.12
[2]Yoji Kuroda,Koji Aramaki,Teruo Fujii,Tamaki Ura:A Hybrid Environment for the Development of Underwater Mechatronic Systems, IECON '95, Orlando, FL, 1995.11
[3]小原敬史、山本喜多男、浦環、前田久明、大和裕幸:Development of an Autonomous Underwater Vehicle RI with a Closed Cycle Diesel Engine", Proc. ISOPE 94,Vol.2, (1994.4),pp.351-3577
[4]研究会資料、1994.4(東京大学生産技術研究所内部資料)
[5]大和裕幸、中川武彦、小山健夫:エキスパートシステムによる自動者桟制御、日本造船学会論文集、Vol.174,pp.327−338.1993.12

 

 

 

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